ムンバイから東に電車で4時間ちょいの移動。プネーという街にきました。
ここにやって来た目的はマハラシュトラ州の伝統的なマトンタリーを食すこと。
地元で超有名なマトンタリーを出すお店、Jagdamba Restaurant。
ハイウェイ沿いにある何の変哲もないドライブインなのですが週末には大行列ができる大人気店。
しかし市内から車で40分の距離にありさすがに遠かった。
こちらがお目当てのマトンタリー。そしてその主役がkala mutton fry、真っ黒いやつがそれです。kalaとは"黒い"という意味。
今回はこのkalamuttonを求めてやって来ました。
何故こんなに黒いのか?それは玉ねぎとココナッツの表面を炭化するまで焦がしたものを使ってグレイビーを作っているからなのです。
この料理を知ったのは2年前のコロナ絶頂期。お店を休んでいたこの時期はオンラインインドグルメ旅行(?)なるまだ食べたことのないインド料理はないかと調べまくっていました。
そこで見つけたのがこの料理なのですがレシピをみて驚愕でした。炭化するまで焦がしたものを使って大丈夫なのか?しかし実際そのレシピ通りに作ってみたのですがこれが旨かったのです。興味がわきました。
ただ本物を食べたことがないので果たしてこれが合っているのかどうか、、それを確かめるためにはるばるプネーのハイウェイ沿いまでやって来たわけです。
結果、やっぱり確かめに来てよかったです。
自分で作ったものも旨かったのですが本物を食べることによってこの料理の輪郭がハッキリ分かったというか、方向性というか、何がポイントなのかがよく分かりました。焦げを含ませたこの独特のマサラの風味を再現したいと久しぶりに闘志が燃えました。日本に帰ったら試作の日々が始まることでしょう。
因みにこのタリーの他のメニューも全部マトンストックをつかった料理でマトン味です。そう、正真正銘のマトン100%タリーなのです。
Kala Mutton Fry
焦がしマサラにタップリのギーがかかってサーブされます。オイリーですが旨い。このギーとマサラのコンビネーションが決め手。
Rassa
マトンストックとカラマサラで作ったスープ。焦がしマサラ(勝手に命名しました)の風味が一番ダイレクトに味わえるスープ。
Aalani soup
マトンストックとターメリックのスープ。マトンの脂肪が浮いていてそれが美味。
Aalani rice と Bhakri
食事が終盤に差し掛かったときにサーブられるシメ的メニュー。マトンストックで作られたお粥的な料理。これもタップリのギーがかけられてサーブされます。
Bhakriは粗めに作られたゴワゴワしたチャパティのようなパン。これでマトンフライをはさんでAalaniSoupに浸して食べると悶絶します。
でもどうかな、こういうのはあまり一般受けはしないような気がします。。
でもこのままやっちゃおうと思ってます。
しかし本当にローカルな店なので多分日本人なんてほとんど来たことないのだと思います。というのもこの店は自分一人で行ったのですが入り口から普通に入っていくとまず店員たちにギョッとされ、「一人なんだけど」と言っても席には通されず、明らかにスタッフ達が自分への対応に戸惑っているのが見受けられます。次にオーナーみたいな強面のおっちゃんが出てきて「何?なにが欲しいの?」とこちらも明らかに戸惑っている様子でした。完全に警戒されている。
まあこういうのは慣れています。
こういう旅行(料理を求める旅行)は観光地ではないところに行くことの方が多く外国人慣れしてない人達に会う機会が多いです。
特にお店をやっている人達の反応は皆一緒でまず始めに「えっ?何?何?」と戸惑いというか疑いというか明らかにビックリされているのが分かります。そりゃお店という自分のテリトリーに見慣れぬ者が入ってきたら誰だって警戒しますわね。けどこちらも敬意をもって接していると段々お互いに打ち解けてきて相手の警戒心も緩んでくるのがよく分かります。「いやー実は日本でインド料理屋やってて、勉強しに来てるんだよ」という話するととても熱心に色々教えてくれます。最後はいつもフレンドリーな感じでホッコリした気分になります。分かり合うってなんて素敵なんだ。
一方通りすがりの普通のインド人達はやっぱりジロジロ見てきますが結構話しかけてくることが多いです。「どこの国ですか?」「日本です。」「いい国ですね。」「ありがとう。」
こんな簡単な会話だけで特にこの後何か会話が続くわけでもないのですがとにかく話し掛けて来てくれます。
色々考えすぎちゃって話し掛けられなかったという経験はよくありますが、インド人はそういう感覚があまりないんじゃないかと思います。物凄くダイレクトな思考というか。インドに来るといつもインド人のその感覚に感心させられるのです。
プネーでは色んな店のマトンタリーを食べまくりました。
Maratha Samrat
Sargam Restaurant
これだけ食べれば味のインプットは無事(?)済んだと思います。もうしばらくマトンは見たくない。
思い返せば8年前にインドに来たときも、その時はチェティナードチキンという料理の勉強をしにきたのですが、その時も同じ料理を食べまくって味を叩き込んだ記憶があります。やはり修行というか苦行でした。